シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「なあ遠坂…7つ目は何処だ? 氷皇の言ってた7つ目は」
「それが…よく判らないんだよ」
煌の質問に答えた遠坂由香は、眉毛を八の字にさせた。
「6つまでは、ネットでも全て同じ順番と似た内容なんだけど、7つ目に関してはバラバラで、ないものもあるんだ」
「六不思議かよ?」
煌がけらけら笑った。
「ただね、6つめまでの"不思議"をよく理解出来れば、7つ目の"不思議"が自動的に判る…というのが定説になりつつある」
「何だ、それは」
櫂様が目を細めた。
「7つ目は、故意的に隠されている。その理由は、6つの"不思議"が証明している…ってことみたいなんだ」
「証明も何も…大体、何の関連性が? 嘘か本当か判らない都市伝説に」
思わず私がぼやくと、
「だがな、桜」
櫂様は――
「ありえない事象に俺達は遭遇している。その時点で、少なくとも…、普段なら笑い話に出来た筈の"不思議"の存在を、俺達は信じねばならない状況にいる。何より、自分の目で"不思議"の一部を確認したのだから。
まあ…異能力集団である紫堂が存在すること自体、今更"不思議"も何もあったもんじゃないけれどな」
そう、薄く笑う。
「6つの"不思議"を理論的に説明出来ないと、7つ目の姿は目に見えてこないと言うことか。それが真実にしても虚偽にしても、そういう見方が一般的なのなら、試してみる価値はあるか」
そして私達を見渡した。
「早急に、現実的な情報を集めねばならない。七不思議を現実的に捉えるのだとしたら、噂ではなく、出来れば目撃情報が必要だ。例えそこから見えてくる真実が、とりとめない下らないものだったにしても、7つ目を引き出すためには必要だ。
あの氷皇が指示するものだ、そう簡単には行かないだろうが」
氷皇は――
何の為にこんな指示をしたのだろう。