シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「あ、上岐サン、手帳拾ってくれてありがとうございました。手帳はこの"紫堂さん"に渡して下さい。あたしは帰るのでゆっくり…「芹霞も居て」
速攻退場しようとしたあたしに、玲くんは手を引いて留まらせる。
「い、いや…ここは空気を読むよ。あたしは…「芹霞も一緒でいいよね?」
「……。彼女サンですか?」
ほら、勘違いさせちゃった。
「いやいや!!! あたしは「そうだったら何?」
「れ、玲…いや、"紫堂さん"!!?」
あたしは、あわあわと慌てふためいて。
「あ、あのね、"紫堂さん"は"幼馴染の「芹霞が一緒で言えないことなら、僕は帰るよ」
あ、あたしの手帳は…。
「何より、芹霞は君の"思い込み"によって危ない目にあったんだ。僕の態度は軟化しないから」
「危ない目って…?」
「れ、玲…いやいや"紫堂さん"、ほらこれは彼女の知らないことだし、も、もう安全だから…手を離して頂いて結構なので…」
「芹霞。いつものように"玲くん"か、"玲"って呼び捨てするか。どちらかを選ばせてあげる」
にっこり。
ええええ!!?
空気を読もうよ、玲くん!!!
「どっち!!?」
声を荒げた玲くんに、あたしはもう反射的に、
「玲くんで、了解ですッッッ!!!」
額に手をあて、"敬礼"ポーズをした。