シンデレラに玻璃の星冠をⅠ

「あたしは七瀬紫茉という。桜華学園2年…」


そう言った時、蚊帳の外に居た上岐妙が顔を上げて。


「桜華…? 下級生?」

「え?」


「ああ、紫茉ちゃん。この人…上岐妙さんといって、あたしの生徒手帳を拾ってくれた、紫茉ちゃんと同じ桜華の人で、あたしとはそれだけの関係だから。本当に修羅場でも何でもないから、下手に勘ぐらないでね?」


先に言っておいた。


"下級生"


上岐妙は、高校3年生だったのか。


正直…年上には思えなかった。


「芹霞が本当に関係ないかどうかは、ご想像にお任せするとして…」


玲くん、笑顔で誤解を招くことを何故言う!!!


「芹霞。この玲も…"猛犬"か?」


突然紫茉ちゃんが、首を傾げながら質問してきた。



「「は?」」


あたしと玲くんは同時に声を上げて、その意味不明な単語を聞き返す。


「いや…玲とも、煌みたいに、がっちりと指絡めて手を繋いでいるからさ」


紫茉ちゃん。


お願い…。


居たたまれない、あたしの空気を読んで?


「"煌みたいに"?


"がっちりと指絡めて"?


――へえ…」


ああ、玲くんの麗しいお顔が"えげつなく"…。


「煌とも…こんなことしてたんだ。


僕の居ない処で。


…ふうん…?」


玲くん…手が痛いです。


玲くん…オーラが怖いです。
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