シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
玲くんは――
訝しげな顔を紫茉ちゃんに向けて。
「……。ねえ、君はもしかして、何か力が…」
"力"?
力って、玲くんや櫂みたいな…超能力?
「"力"で思い出した!!!」
突如叫んで立ち上がったのは紫茉ちゃんで。
「翠…翠を見なかったか!!?」
「小猿くん? 見てないけど…」
「あいつ…勝手に人のメールを見て、芹霞の住所を盗み見して、あたしより早くに家を出たみたいなんだ。
だからあたし、慌てて追いかけてきたんだけれど、反対側の電車に乗ってしまったから…翠を見失って見つけられないんだ」
そして。
紫茉ちゃんは、凛とした眼差しをあたしと玲くんに向けた。
「玲…あんたも"紫堂"の者なんだな?
翠は、紫堂を憎んでいる。
だから多分…
乗り込んだんだろう。
単身…紫堂を殺すつもりで」
「はい!!?」
「昨日、何度も言い聞かせて説得させたはずだったのに…結局何も聞いちゃいなかった。芹霞、紫堂櫂に連絡取ってみてくれないか!!?」
あたしは、玲くんと顔を見合わせた。
「翠は虚勢張ってばかりの口だけ男だが、唯一自慢出来るものが1つある。あたしは見たことはないが、もしいつも自慢するあの"力"を使っていたら、紫堂櫂がやばい!!!」
何だか判らないけれど、あたしは慌てて櫂に電話した。