シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 
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目の前で仁王立ちした芹霞が、凄い剣幕で怒鳴っている。


「人の家を滅茶苦茶にして、

お前達は猿かッッ!!!」


左から。


正座して桜の糸でぐるぐる巻きにされた小猿、同じ格好の小々猿7匹。


そして。


「翠、あたしも怒り心頭だッッ!!! 人様の家を何だと思ってる!!!」


七瀬も同様に仁王立ち。


女性軍の剣幕に、ただ遠巻きで見ている櫂でさえ顔を引き攣らせて。


芹霞と七瀬はかなり気が合うらしい。


しかしこの女達、凄え迫力だ。


当事者はもう、がたがた震えている。


そんな中、玲が立ち上がって。



「ふふふ。君が"アキラ"くん? 

あの車に、カタカナでサインしてくれた

"コウジョウアキラ"くん?」



何だ?



「ふふふふ。ねえ、君は…"車両保険"って知ってるかな?」


突然変なことを言い始めて。


「車体が損傷したら保険会社が賠償してくれるありがたい保険なんだけれど、何とあの車にはそれが入ってないんだ。つまり何かあったら、持ち主が自己負担」



ああ、玲の微笑が…えげつなく。



「おまけに…石で派手に傷までつけてくれてね。更にバンパー損傷、フロント硝子は木っ端微塵。ふふふ、頑丈が取柄の…"超"高級外車なんだけれど」


玲の黒い微笑みは止まらず。


小猿達は、いつの間にやら1つに…団子状に集まって身体を丸め合わせ、見るからに"恐怖"を体現して激しくがたがた震えていて。



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