シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 
「式とは…式神のことか?」


櫂の声に、四つん這い姿の小猿は渋々頷いて。


俺の蹴りで痛みが再現され、座ることが出来ねえらしい。


「式神って…陰陽師の使い魔の? 

主の命令だけを忠実に遂行する、あの?」


そう訝しげに言った玲は――


「はい、今度はあっち。ああ、曲がってる!!! やり直し!!!」

「ほら、もっと綺麗に車を磨くんだ!!! おお、傷を直せるのか。よくやった、よしよし」


芹霞と七瀬の監督の元、よく働く7匹の小々猿を眺めた。


いつの間にやら、芹霞は小々猿を手下にして動かしている。


小々猿の、先程までの自由奔放かつ怠慢さは何処へやら。


実にキビキビと動いている気がする。


小々猿の方が、小猿より有能なんじゃねえか?


それを苦々しく見ている、真の主たる小猿。


「何であいつら、芹霞と七瀬の言うことなら聞くんだ? 猿使いの小猿が、どうして小々猿の面倒見きれねえんだ? あれはお前のだろうがよ?」


「俺は小猿じゃねえ!!! この馬鹿ワンコ!!!」


「俺はワンコじゃねえ、この馬鹿小猿!!!」



駄目だ。


俺とは、話になんねえ。

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