シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
見映えはさて置き、やがて女達が進めた簡易的な修繕工事が一段落した頃、七瀬が、俺達に土下座を始めた。
「この度は、この皇城翠が迷惑をかけてすまなかった。ほら翠も一緒に土下座だ。ど・げ・ざ・だ!!! 当然だろう!!!」
小猿は七瀬に尻を叩かれ、キーキー悲鳴を上げながら…渋々と土下座した。
何とも…七瀬の方が侠気あって清々しい。
修繕の手伝いを申し出た俺達を却下して、小猿と小々猿だけを働かせたのも、全て七瀬の意向による。
――ああ、あんた達は何て優しいんだ。さすがは芹霞の仲間だな。折角だけど気持ちだけにしておく。これは翠と、翠を制止出来なかったあたしが、当然やらねばならぬ…最低限の"責任"だ!!
だから仕方が無く、俺達は居間で茶を啜りながら、それを眺めていて。
テーブルには――
「お前達、何でそっち側でくつろいでいるんだよ!!!?」
7匹の小々猿が、遠坂が用意した、緋狭姉のおちょこに入れた煎茶を飲みながら、土下座する小猿を指差してげらげら笑っている。
無声音だけに、小猿の沸点は高く。
「なあ!!! おかしいだろうよ、大体悪いのはあいつらで…」
「口だけのお前よりは、よっぽと役にたったがな? 有能で」
七瀬がきっついひと言を向ければ、小猿は撃沈して床に突っ伏した。
「そんなに嫌なら、元々の…符呪に還せばいいじゃないか」
玲が笑いを堪えながらそう言うと、小猿はその体勢のままで、身体を1度大きく震わせた。
しかしそれきりで、珍しく反論がなく。
「ねえ――
まさかとは思うけど
還せない…とか?」
びくり。
やはり反応はそれだけで。
図星、か。