シンデレラに玻璃の星冠をⅠ


「式神を出せるのに還せないの?


それで…櫂達を襲いに来たの?」



意識的か無意識的か。


玲の執拗に続く言葉責めが、小猿を更に追い詰めたようだ。


「し、式を出したこともないのに、簡単に言うな!!!」


小猿の声は屈辱に震えていて。


少し顔を上に上げて鳶色の瞳を睨み付ける様は、猟師を目の前にした野生の猿の虚勢のようで、何だか哀れみを誘った。


おいおい玲、もういいだろう、やめておいてやれよ。


自覚している"自分の未熟さ"を他人から何度も繰り返し言われるのは痛い…って、何で俺、小猿を擁護する気分になっているんだろう。


「馬鹿蜜柑と同じ…」


桜が鼻でせせら笑った。


悪かったな。


俺は今でも、緋狭姉のペット金翅鳥(ガルーダ)を、出すことは出来ても還すことが出来ねえよ。


文句あるなら、お前も金翅鳥(ガルーダ)出してみろってんだ、桜。


ん?


俺…小猿と同じレベルなの?


「お前…そんな状態で、よくいつもあたしに威張り腐って"あの技"とやらの大きな自慢をしてくれたな!!! ああ、お前の話鵜呑みにして、芹霞や玲を急かして走らせた自分が恥ずかしい!!!」


七瀬が深く嘆いた。


「だけど!!! 7つもの分身作るのは皇城でも俺しか出来ないし!!」


「言うこと聞かなきゃ意味無いだろう!!!」


「言うこと聞けば、凄い力を放つし…」


「じゃあ言うこと聞かせてみろ!!!」


七瀬と小猿は、やがて同時に溜息をついた。


< 228 / 1,192 >

この作品をシェア

pagetop