シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 

「本当に悪かった、芹霞。この家の修復は、こいつの実家から賠償させるから安心しろ。とりあえず今だけ、あれで勘弁してくれ」


「皇城家…俺の言うこと聞いてくれるかなあ?」

「聞かせろ!!! 何が何でも!!! 聞かねばお前が働け!!! 土木工事でもなんでもして、寝る間も惜しんで必ず支払え!!!」

「ええ!!?」

「当然だろうが!!! このままではお前、芹霞達に"駄目駄目男"に認定されるぞ!!? これ以上お前株下げたら、皇城の血が泣くぞ!!?」



随分と――

おちこぼれらしい小猿。


ああ、何だろう。


何か意外と親近感が湧く。


不思議と応援したくなる。


おちこぼれ万歳!!!


そんな時、頭にもぞもぞと何かが動いていて。


「……。おい、小猿。俺の頭の上に居る小々猿を何とかしろ!!!」


「ああ、"№2"か。そいつ…ワンコ好きの超変態だから仕方ないわ、諦めてくれ」


腹立つ言い方だけど…なんかこれ、可愛いかも。


"BR002"と"№2"


番号も同じだし。


こんな俺に懐く奴がいるなんて驚きだけど…だからこそ、可愛く思うのか。


気づけば。


櫂に懐いているのもいれば、七瀬の肩に乗っているのもいる。


玲にびくびくしていた奴も、玲が微笑んだら懐いたようで。


遠坂にも桜にも、懐いていて。


そう、俺達1人につき小々猿が1匹懐いている。


――主たる小猿以外。


何処まで馬鹿にされているんだ、小猿。

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