シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
そんな時、桜が櫂の隣からこちらに走ってきて。
「櫂様宛ての包みより、芹霞さん宛ての封筒が出てきましたので」
それは青い角2の大きさの封筒で。
芹霞は慎重にその封をあけて、中の物を取り出した。
「学習塾の…ご案内…?」
そして怒り出す。
「何よ、あたしの成績が悪いから、塾に行けとでも!!?」
パンフレットと共に、入会の振込用紙まで揃えられている。
一体…何を考えているのだあの男。
「桜…どうした?」
なにやら考え込んでいる桜は、芹霞が手にするパンフレットを指差して、
「その塾…有名なのでしょうか」
「え?」
「豊洲の上岐物産に行く途中に会った桜華生も持っていたもので」
「なんて読むんだろ、黄に…」
「黄幡会…え?」
僕は氷皇から振込み指示された口座名を再度見る。
"オウバンカイ"
確かに、同じ響きだ。
学習塾と宗教。
同じ名前なのは…偶然か?
そのとき櫂が、ルームキーを持ってこちらに来た。
何やら疲れきった顔をしている。チェックインに不都合があったのだろうか。
支配人が櫂に話し出したから、僕は後方に控えていたのだけれど、僕が直接手続きすればよかったか。
「スイートに、ベッドを入れるのが終わったようだ。行くぞ…え? 手続きは不都合ないぞ。疲れた気がするのは…これのせいだ」
ベルボーイはいらないと片手で制しながら、彼が手にする青い袋を僕に見せた。
「なあ、お前は何が入っていたんだ、その中」
「ああ…この中には…」
取り出したのは――
「制服!!?」
しかもそれは、桜華学園のもの。