シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「ご丁寧に、ブレーザーの内側に名前が刺繍されている。
――全員分だ」
「「「「「は?」」」」」
櫂を除く全員が一斉に声をあげて。
そして僕は更に付け加えた。
「ぼ、僕のは…ないよね!!?」
「あるぞ。ほら」
見せられた僕の名前の刺繍。
「うっわあ、師匠…学生にカムバック?」
「きゃああ、あたし玲くんと同じ学年!!?」
由香ちゃんと芹霞はおおはしゃぎ。
「お前も…同学年かよ…」
「いや煌…問題はそうじゃなくて…」
何故その必要性があるのかを、皆で話し合ったほうがいいと思うのだけれど。
「紙が入ってるな」
『指令2
皆でコスプレして登校したら、まず理事長に挨拶して、指令1の現況を報告のこと☆』
「これも…指令?」
桜が顔を強張らせた。
「らしいな」
櫂が大きく溜息をつく。
「桐夏の道具も制服も家にある以上…明日からの登校は見合わせよう。まあ…実際には通学など、悠長なことは言ってられん状況なのだがな。
部屋で一度…話そう。ここは目立ちすぎるから」
そう苦笑し、僕たちを最上階に促した。