シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
皆には内緒にしているけれど、この宝石箱は緋狭姉からの誕生日の贈り物で、初めてのプレゼントとそれに付随するものを入れるようにしている。
櫂は――
お祭りで買ってくれた玩具の指輪とその時くれた手紙。
煌は――
あたしの誕生日に初給料で買ってくれた腕時計と、つけてくれた瞬間を緋狭姉が撮った写真。
もう完全に2人は忘れているだろうけれど、あたしは凄く嬉しかったあの瞬間を忘れたくないんだ。
大好きな人達から貰ったものだから、いつまでも大事にしたい。
たけどそんなこと表だって言うものではないし、馬鹿にされても嫌だから、中身を隠し通して鍵までかけて厳重保管している。
あたしは、その中に玲くんや桜ちゃんの思い出も入れたいんだ。
桜ちゃんに関しては――
正直難問だ。
物品での好意の示し合いはしていないから、どうすべきかは今後の課題。
玲くんに関しては――
本当はあたしにプレゼントしてくれた金緑石(アレキサンドライト)を入れたかった。
それを入れずに持ち歩いたが為に、壊れて無くなってしまった。
本当に…ショックだった。
玲くんからの贈り物はそれが最初ではなく、食料関係が多くて形に残らないものばかりだったから、箱の中に入れたくても入れれないのが現状で。
だから…。
玲くんとお出かけした際に、玲くんに感謝のプレゼントを買って、同時にその時の記念のものを詰め込もうと思っている。
お揃いの何かでもいい。
とにかく、彼との思い出も詰め込みたい。
物品が全てではなく、皆との思い出があたしには大事で。
だけど思い出をより鮮明にする為には物品が必要で。
そしていつまでも"大好き"を思い返していたいんだ。