シンデレラに玻璃の星冠をⅠ

幸せのお零れを、少しでも欲しい。


どうすれば俺は、"一歩"が踏み出せる?

どうすれば芹霞に、お前は俺の"特別"中の"特別"な女だって自覚させられる?


再度告ろうにも…芹霞はすぐ"絶交"を持ち出して強制終了させるし、正直俺はどうすればいいのか判らなくて煩悶している。


何かを変えたいと思うけれど、何からどう変えればいいのか判らなくて。


しかも、玲が動き始めたから。


焦慮感だけが募って、身動き取れなくて。


黒髪は…いい機会だと思った。


黒髪に変えることで、芹霞の反応を見てみたかった。


少しでも、いつもと違うことが刺激に感じてくれたら。

それを契機に、俺のことを違う面から意識してくれるかもって…。


――黒ワンコは嫌~~ッッ!!


あそこまで、嫌がれるとは。


――玲がえげつなくなるぞ? 芹霞は泣き叫ぶだろうし。


櫂は俺の黒髪を見て、そう笑ったのだけれど、結局櫂は、俺の黒髪姿にどんな感想を持ったのか言わねえし。まあ…俺の髪色が変わっても、お前の美貌は変わらず安泰だものな。


髪色変えただけでモテまくる程いい男になれるとまでは自惚れてはいないつもりだから、遠坂の言葉は半分聞き流していたけれど、半分くらいは…それくらいマシになれたらいいなっていう期待ということで。


――橙色じゃないと嫌だ~ッッ!!!


あの胡散臭い橙色の方がいいって、お前の美意識変だよな。


だけど遠坂の言う通り、俺を丸ごと受け入れてくれているのだとすれば、これ以上に嬉しいことはないことで。


だけど黒髪の方が、万人ウケいいんだとしたら…俺、どっちの髪色にすべき?


「桜…どうよ、俺の髪」


車の中でこっそり聞いてみたら、桜は穢らわしいものでも見る眼差しで、


「言いやすいのは"馬鹿蜜柑"。

玲様の機嫌を損なわせるな」


意味…判らねえ。

櫂も桜も、どうして玲が気分害すると思うんだ?


そこまでおかしいか、俺の黒髪。


玲…。


お前最近暴走気味だから、落ち着いて語ろうぜ?


いきなり暴力行為はやめろよ?

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