シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 
――――――――――――――――――――――――――――……

桜華学園は、煉瓦造りがどこか懐古的(レトロ)な桐夏とは違い、至って近代的でデザイン性重視の・・・まるで大企業のオフィスに居る錯覚を覚える。


校舎の殆どが硝子張りで、吹き抜け部分が多く、開放感溢れる造りとなっていて、所々目に映る縦長の観葉植物が、癒しを彩っている。


そこまではいい。


だけど、自己主張激しい金色の銅像。


剥げ頭の…どう見ても気持ち悪いイボガエルが、大口あけてにやにやしている。


校舎内で4つも見かけた時は、さすがにうんざりした。


「成金趣味なのさ、ここの学園長」


櫂は薄く笑う。


「桜華と桐夏の学園長は兄弟で、桜華は兄さ。弟は気が弱いからな、だから俺に付け入られることになる」


いいや、櫂。


お前相手に、陥落しない奴いないと思うぞ?


難攻不落は…芹霞くらいなもんだ。


その芹霞は、きょろきょろ挙動不審に歩いていて。


「どうした?」

「え? 紫茉ちゃん・・・何処にいるのかなって。早く会いたいな」


やはり、俺の心を占めるは、芹霞の"百合"疑惑。


だからこいつ、俺達に靡(なび)かないんじゃないか?


よし。


七瀬は、要注意人物に認定だ。
< 287 / 1,192 >

この作品をシェア

pagetop