シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 
外ではあんなに桜華生が取り囲んだのに、校舎内はしんと静まり返っている。


まあ、俺達が歩いているのは、案内板に従った…来客用ルートというのもあるけれど、櫂と玲と…桜までいて、傍観者が1人も出ないというのはおかしい。


つーか、廊下にいるのは俺達だけで。


何だこの、異様な静けさは。


まさか…いつもの喧騒は、俺の忌まわしき橙色が…

遠くからも近くからも、うざい女達をうじゃうじゃ呼び寄せていたとか?


俺の髪…呪いみたいな力あったのか?


「本当に…君は考えていること顔に出るよね」


遠坂が哀れんだ顔を寄越した。


「そんなことがあったら、きっと今頃君は七不思議のワンコだ」


絶対、嫌だ。


あの嫌味なワンコらと同列にされたくねえ。


「七不思議の報告、どうするよ? 7つ目、見つけれてねえんだろ?」


玲が髪を耳にかけ直しながら言う。


「どうもこうも…そのまま言うしかないよ。"6つの七不思議を熟知できれば7つ目が現れる"ってさ。結果報告じゃない、これはあくまで経過報告だ」

美少女からは、いつもの玲の声。


同じ制服着ているせいか、どうもまだ慣れねえ。


「だけどどうして、報告が桜華の理事長なんだろうね。ましてや学園長じゃなく」


そう遠坂が首を捻った時、




「俺…あのイボガエル、嫌いなんだ。


あははははは~」



後方から、胡散臭い笑い声がした。



途端。


皆の顔が。



警戒よりは、うんざりとした顔に変わる。



勿論…俺もだ。
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