シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
ポケットから取り出してみれば芹霞からで。
前回は、誰1人として…芹霞から携帯や家にかかってきた電話には出なかった。
そして。それを意思表示として、メールしたんだ。
仕事だから会えないと、だからこちらからの連絡を待てと言ったはずなのに…どうしたのか。
今までの芹霞は寂しくなるくらい…紫堂の仕事をしている俺とは線を引いてきたから。
判っていて連絡してきたというのは、どんな意味があるのか。
嫌な予感がした俺は、携帯を握り締めながら、出るべきか出ないべきか…迷っていた。
「出たら? 芹霞ちゃんでしょ?」
画面には、『着信 芹霞携帯』と表示されている。
もし出てしまえば…芹霞を巻き込むことになってしまうのではないだろうか。
「…櫂。出よう。何か嫌な予感がする」
玲が強張った顔をしてそう言った。
「巻き込んでしまったら…その時は守ればいい」
煌も桜も頷いた。
「俺はどっちでもいいよ~」
青い男は愉快そうに笑う。
だから俺は――携帯に出た。
「もしも「櫂!!! 助けて!!!」
部屋に飾られたスピーカーに、携帯の芹霞の声が響く。
「芹霞、どうした!!?」
俺は思わず声を荒げた。
「今下に居るの。お願い、櫂。家に入れて!!!
玲くんの結界で治療して!!!
お願い――
榊さんを助けて!!!」
涙交じりの…悲鳴だった。