シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
イボガエルが、俺達を校舎まで案内しようとドアから出た時、
「あ!! そうそう、クラスだけど」
氷皇は、わざとらしい柏手1つ打った。
「3人ずつ2クラスね。芹霞ちゃん、君が1番一緒に居たい人と2番目に一緒に居たい人を優先的に指名する権利あげる。誰がいい?」
俺達を煽るようなことを、意地悪く言ってきた氷皇。
絶対俺達の反応を楽しんでいるに違いねえ。
芹霞は俺達をぐるりと見渡した。
すげえ緊張する。
だけど――判っている。
きっと芹霞が選ぶのは…
「いつも通り、カイクン指名?」
透き通るような黒い瞳がゆっくり櫂に向けられると、俺の胸はぎゅっと締め付けられた。
芹霞が櫂を選ぶ。
それを見ているこの状況が溜まらなく嫌だ。
頭より先に手が出そうになる。
その腕掴んで「俺を選べ」って言いたくなる。
そんな時、芹霞は――
ゆっくりと首を横に振った。
それに誰もが驚いて。
「あたし…玲くんと由香ちゃんと一緒がいい」
その言葉に、室内は静まり返る。
櫂の顔が、凄惨な翳りに覆われ、苛立ったように目が細められたのに、芹霞は気付いていねえ。
「へえ…君が選ぶ男は、レイチャン?」
玲は…俯いていて。
その表情は判らないけれど、喜んでいるに違いねえ。