シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 

あまりにも俺達の想いには鈍感過ぎる芹霞が、反応を示したのは…七瀬が煌とその繋ぎ方をした時。


どうして――

泣きそうな表情をしたんだ、お前。



俺と芹霞は触れ合うことが多くても、昔の濃密な思い出が意味をねじ曲げる。


触れ合いは自然過ぎて、特別ではなく。


"俺"を意識させるためには、そこから"もう一歩"が必要で。


煌も玲も。


芹霞を異性として意識させられるのに、俺だけが上手くいかないのがもどかしくて。


ずっとずっと守り続けてきた俺の芹霞が、俺以外に"女"の反応をしていると思えば、溜まらなく嫌で。


いっそ…

無理やりにでも抱いてしまいたいとさえ思う。


俺の想いをその嫋やかな体に刻みつけ、俺の痕跡をはっきりと残せたら。


身体で…俺の全てをぶつけたら。


芹霞は…俺の想いを自覚してくれるだろうか。

頭ではなく、身体なら感じ取れるのではないか。


最近、そんなことを考えてしまう。


――芹霞ちゃあああん!!


好きだと想うのは易く、伝えるのは難しく。


俺はここまで感情表現が乏しかったのかと思う程、俺は不器用すぎて。



どう攻めていけばいいのか判らなくて。


何が完璧主義の『気高き獅子』だ。


芹霞の"王子様"にもなれないくせに。


何の為の紫堂だと嗤いたくなる。
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