シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
紫堂の力に頼らずとも、煌や玲は…昔からそのままで、確実に芹霞の心の中で大きくなっている。
しかしそんな強敵を上回るのが芹霞で。
人のフリみて我がフリ直せとはいうけれど、俺達はここまで芹霞に"特別性"を見せ付けているのに、どうしてもっと判りやすい"恋愛感情"に関する変化がないのだろう。
これ以上のことで芹霞を意識させ、俺の"特別"だと自覚させるにはどうすればいい?
"永遠"であることは素直に嬉しいけれど。
そのままで停滞しているのなら、"永遠"を超える"特別性"を見せねば、前に進めない。
このままだと、俺が気持ちを伝えただけで終わってしまう気がする。
12年の想いが、報われずに終わってしまう。
それだけは絶対嫌だ。
「ねえ櫂。お前…桐夏でもこんななの?」
玲が苦笑しながら耳元で囁いてきて、俺は現実に返った。
まだ止まぬ歓声。
「全然収拾つかないじゃないか」
「俺のせいだけじゃないだろ?」
「…じゃあまた見せ付ける? ふふふ、手っ取り早い方法で」
「それもいいな。今度はどうする?」
玲と俺との"企てる"囁きあいが、女達の妄想を膨らましたらしい。
そして。
「おい、玲!!! お前…櫂とばっか話してねえで、事態を収めろよ!!!」
煌が割り込むようにして玲の腕をとって声を荒げたその様も、更に女達の妄想具合を強めたらしい。
俺と玲は、血が繋がりながらも愛し合っている禁断の仲で、玲に仕えている煌が、主たる玲に片想いしているという…三角関係の図が出来上がってしまった。