シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
或る恐慌 煌Side
 煌Side
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呪われてる。


この3日間で、確信を強めた結論だ。


俺と芹霞は――


同じ家に住むなんておいしい状況なのに、

更には今、家には2人きりだというのに、


それが一切有利に働かねえ。


俺と芹霞の進展はまるでなく。


眼中外の…せいぜいワンコ止まりだ。


玲との"おでかけ"復活を賭けた…芹霞の勉強三昧の日々。


それが終われば、朝から晩までビジュアル系バンド"Zodiac"ばかり。


構って欲しくて、ちょっと強引に行こうものなら、


――絶交!!!


触れられる距離にありながら、ひたすら"お預け"喰らって…我慢を強いられてきた矢先、今度は芹霞に会うことすら出来ねえ状況。


欲求不満。

消化不良。


それはきっと俺だけじゃねえだろうけど。


部屋の中、凄いピリピリしているのが判る。


それは全て――


――あはははは~


突然現れた、青い男のせいだ。


櫂の何処に、監視するだけの疑わしさがあるってんだよ。


監視なら、櫂じゃなく…元凶たる父親にすればいいだろうがよ。


俺達のプライベートまで全て支配して、俺達を奴隷のように扱き使う。


――ワンワン、お風呂入りた~い。


俺が神崎家で、風呂掃除担当なのも知っていて、毎回やたら綺麗な風呂に入りたがる。毎度嫌味みてえに"犬のおまわりさん"をでかい声で歌って風呂入っているのに、その間に俺達でこっそり交わした会話も全て筒抜けの、恐るべし氷皇。


――ワンワン、お風呂~。


何で俺が――

あいつの為に都度浴槽磨かないといけねえんだよ!!!


だが俺があいつの要求を拒むことで、氷皇が気分を損ねたら何より櫂に迷惑をかけてしまうから…俺は1日何度も風呂を磨き続ける。


大嫌いな青い男に頭を下げること、櫂が唇噛みしめながら堪えに堪えていること知っているし、俺達は櫂を窮地に立たせることは出来ねえんだ。


――あははは~、本当に"忠犬"だねえ~。


俺は犬じゃねえって!!!


ああ――

氷皇への怒りに頭が爆発しそうだ。



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