シンデレラに玻璃の星冠をⅠ

そんな時にガラガラと教室の後ろのドアが開いて。


自警団の…白い制服の男女が堂々たる物腰で入ってきた。


「授業中なのに何を騒いでいる!!!」


荒げた声とは裏腹な、虚ろな顔。


男は怒鳴り、女は携帯を取り出して何かを操作している。


途端に生徒達は瞠目し、走るようにして自席について。


教室が再び静かになった。


つかつかつか。


まるで我が物顔のように、教室内を闊歩する音。


そしてこちらに歩いてきた。


「お前!!! この耳についているものは何だ!!?」


煌の横で男は言った。


「手を離せよ、おい。これはピアス、耳元で怒鳴る程珍しいもんでもねえだろ」


"不快"を露にした顔で、煌は睨みつけた。


「誕生日と名を述べよ!!!」


「あ!!? 何でんなこと言わねえといけないんだ!!?」


「何だその言葉遣い!!! 逆らう気なら…」


男は懐から何かを取り出して。


「我らに逆らうものには罰則(ペナルティー)を!!!」


まるで印鑑のようなものだった。


それを煌の手に押し付けようとしたが、煌は素早くそれを避けた。


「何を…する気だ、お前ら」


ピアスに手をかけようとした煌を俺は制する。


公衆の面前で、流石に刃物の顕現は不味いだろう。


「煌のピアスは理事長から許可とってある。だから問題ない」


とってはいないが、確認をとられたとしても、あの男なら何とかするだろう。


黒髪を贈ったのが自警団に対する対抗策だというのなら。


「この顔…一致した!!!」


女が携帯を見ながら声を上げた。


「しかし…皇城家次男より…特令が…」


それは…皇城翠のことだろうか。


男は依然、能面のような顔を煌に向け、そして背を向けて遠ざかる。


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