シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
どんな理由かは判らないが、自警団に皇城の名は力を持つらしい。
「きっと…渋谷の時、七瀬が小猿動かして…自警団に交渉させてたから。あの携帯には、そんな情報まで出るらしいな」
煌が訝しげに、警戒したような小さな声で俺に言った。
その時、まだ俺達の前に居た…携帯を手にしていた女が、俺と玲の写真を素早く撮った様で。
「照合OK」
そんな確認のような言葉を吐くと、男と退室してしまった。
「ねえ…」
俺は背中を叩かれ、後ろに振り向いた。
気弱そうな男子生徒が、青ざめた顔色でこちらを向いていて。
「逆らわない方がいいよ? 紫堂くんは知らないと思うけれど、罰則(ペナルティー)と呼ばれたハンコみたいのを押されると、自警団の仲間が飛んできて、強制的に何処か連れ去られて更正させられるんだ」
俺は目を細めた。
「女が持っている携帯には、東京に居る全高校生情報が見れるっていう噂。写メ撮られていたでしょ? あれ…全員されたから。何でかは判らないけれど、指名手配みたいで皆怖がっている」
「…櫂、気づいているか」
俺との会話を遮るようにして、玲が言った。
「来る……」
強張った顔をした玲。
そして――