シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 

休み時間。


教室の殆どの生徒達が、興味津々とばかりに私達を取り囲んで。


特に芹霞さんの周りには男ばかり。


「神崎さん、可愛いね。付き合っている人いる!?」


…むかっ。


「ねえねえ、携帯アドレス交換しよ?」


むかむかっ。


「芹霞ちゃんって呼んでいい?」


むかむかむかっ。


私は、すくりと立ち上がり、席を外した前方の…椅子を派手に蹴り飛ばした。


途端にしんと静まり返る教室。


「うるさい」


睨みつけると、男達はびくびくしながら席についた。


「……何か?」


三日月形の目をして、何か言いたげに笑う…遠坂由香に目を向ければ、


「いんや。男らしいねえ、は・や・ま」


男装しているせいだ。


だから私の感情が、思うように制御できないだけなんだ。


そんな中、芹霞さんは右隣の男子生徒に話しかけていて。


話しかけるなら女子にすればいいのに。


そう…やはりむかむかしながら、見ていると、


「ねえ…あそこの席、どうして写真と菊の花?」


芹霞さんが指差した先には――


「死んだんだ」


明らかに、供花。


ああ、七不思議にあった"猟奇事件"の犠牲者か。


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