シンデレラに玻璃の星冠をⅠ

「事件知ってる? 絞殺のち脳を奪われるっていう怪奇事件…。そこの彼女、黒髪お下げに黒縁眼鏡だったから…」


「何か関係あるの?」


「3年に黄幡一縷っていう人がいたんだけど、殺されて。それと同じ死に方をしてるっていうのが犠牲者達の共通項。だからきっと、一縷サンはそういう子に殺されたんじゃないかっていう噂」


芹霞さんは何かを考えていたようで。


「死んでいる人間が、どうやって絞殺出来るの? 普通幽霊って、擦抜けない?」


「さあ? 一縷は占いという特技以外にも、不思議な力あったみたいだから、物理的に不可能なことも可能に出来るんじゃない? 怨念になってれば特に」


「……。一縷が誰かに取り憑いて殺している、なんてね?」


「ははは、いいね、それ」


また芹霞さんは考え込んだ。


そんな時。


ガラガラガラ。


大きな音をたててドアが開いて、現れたのは自警団。


同時にチャイムが鳴ると、生徒達は自分の席に舞い戻り、緊張した面持ちのまま、石のように固まった。


やがて入ってきたのは日本史の教師。


背筋正して教師を迎え入れる室内の様子を満足げに見渡し、頷いている。


そして淡々と進められる授業。


私は――


こちらに向けられている"敵意"の視線が深まるの感じていた。



まるで、今此処に敵がいるような…そんな錯覚になった時。


「!!!」


芹霞さんが私に振り返り、廊下を指差して。


突然の動きに驚きながらも、私は身を乗り出しその方向を向いたが何もなく。


同時に、強まる視線。


震える芹霞さん。



そして言った。


「桜ちゃん…蝶々が居る…」



「え?」



「黄色い蝶々が…廊下から、ドアすり抜けて来た!!!」
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