シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
皆もそうだろうと思いきや、少し異質なのは玲だ。
芹霞と癒しのメールを出来る唯一の男。
何度も何度も何度も何度も。
『ハニーからのLOVEメールだよ~』
……玲。
お前の趣味をとやかく言うつもりはないが、これ以上の"怒"を煽るな。
櫂の顔、判っているのかよ。
寒いんだよ、この部屋の気温…。
そんなこっちの心情お構いなしに、響くのは…
『ハニーからのLOVEメールだよ~』
ハニーって誰だよ、玲!!!
携帯画面を見つめる玲があまりに嬉しそうなのにムカついて、何やら文章を作り始めた玲の携帯を覗き込んだら。
――あっちの画面で見ろ!!!
何で生は駄目なんだよ、玲。
今…お前が焦って背中に隠したメール画面に、やたら沢山赤いハートマークが飛んでなかったか?
でも氷皇も見てる画面には、そんなのねえし…必要とするような文章ではねえぞ?
本当に…画面の内容は正しいんだよな?
ああ、くっそ。
絶対俺は、玲と芹霞の距離が近付いたなんて思わねえからな。
たまたま、だ。
玲にとって都合のいい偶然が重なっただけ。
ああ、芹霞に会いたい。
芹霞をぎゅっと抱きしめたい。
本当に俺、欲求不満なんだよ。
だけど芹霞の隣に居るのは、何故か遠坂の兄貴。
3日間もずっと芹霞と一緒にいるのは…俺じゃない男。