シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
思わず立ち上がった私は、裂岩糸を手にして、芹霞さんと廊下の間に立つ。
「大群が…大群が…」
目の前で――
お下げの女生徒が突如悲鳴を上げて。
見る見る間に、両目から血が噴出した。
そこには…眼球がなく。
「きゃあああああ!!?」
「芹霞さん、方向を!!!」
しかし芹霞さんはただ泣くばかりで。
遠坂由香は机の下で丸まっている。
芹霞さんの悲鳴に呼応した生徒達が次々に声を上げて。
そして次々に真紅色に染まっていって。
私は、糸で結界を作り、芹霞さんと遠坂由香を囲った。
いつまでもつか判らない。
効果があるのかどかも判らない。
過去、私の糸は役に立たなかった。
正直、まだ昼前の学校で…再び蝶に奇襲をかけられるとは思っていなかった。
ぎりぎりと私は歯軋りをする。
不本意だけれど。
私の手で何とかしたかったのだけれど。
玲様。
玲様…貴方なら芹霞さんを守れるから。
私は窓から見える、教室を見た。
そこに居るかは判らないけれど。
「きゃあああああ」
教室から出て行く生徒は、目だけではなく…全身が血に染まり行く。
逃がさないつもりなのか。