シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「そういえば!!?」
既に黄色い外套男も、蝶もなく。
制裁者(アリス)の追撃も収まったようで。
気づけば――
教室内では震えながらこちらを見ている生徒達。
玲様は暫く、何故か自分の掌を見ていたけれど、やがてそれをぎゅっと握り締め、
「移動しよう」
そう堅い声を発して、廊下に出ようと背を向けた。
その時だった。
「きゃあああああ」
それは悲鳴ではなく黄色い声。
怪訝な顔で振り向いた玲様に、男も女も飛びついた。
「え、え? な、何?」
明らかにうろたえている玲様。
「格好いい!!
御姉様って呼んでいい!!?」
それは女子から。
「うおおお~、惚れた、俺はあんたに惚れた!!!」
それは男子から。
どんな戦いにおいても、スカートを乱れさせないその上品な戦い方が、何故か彼らのツボにはまったらしい。
スーパー美少女玲様は、大人気。
「絶対、明日のミスコンで票入れるから!!!」
「こうなったら、目指せ優勝!!!」
集団の迫力に、少し怯んだ玲様は。
笑いを堪える櫂様を見て、力なく笑った。