シンデレラに玻璃の星冠をⅠ


「そういえば!!?」


既に黄色い外套男も、蝶もなく。


制裁者(アリス)の追撃も収まったようで。



気づけば――


教室内では震えながらこちらを見ている生徒達。



玲様は暫く、何故か自分の掌を見ていたけれど、やがてそれをぎゅっと握り締め、



「移動しよう」



そう堅い声を発して、廊下に出ようと背を向けた。



その時だった。




「きゃあああああ」



それは悲鳴ではなく黄色い声。


怪訝な顔で振り向いた玲様に、男も女も飛びついた。



「え、え? な、何?」



明らかにうろたえている玲様。



「格好いい!!

御姉様って呼んでいい!!?」



それは女子から。



「うおおお~、惚れた、俺はあんたに惚れた!!!」



それは男子から。


どんな戦いにおいても、スカートを乱れさせないその上品な戦い方が、何故か彼らのツボにはまったらしい。


スーパー美少女玲様は、大人気。



「絶対、明日のミスコンで票入れるから!!!」

「こうなったら、目指せ優勝!!!」




集団の迫力に、少し怯んだ玲様は。


笑いを堪える櫂様を見て、力なく笑った。


< 313 / 1,192 >

この作品をシェア

pagetop