シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
着拒しているのは紫茉ちゃんじゃないとの自信はあった。
紫茉ちゃんと別クラスなのは残念だけれど、休みだというのなら…明日になれば会える。
だけど玲くんから応答がないのは、玲くんの意思のような気がした。
そう思っていた時に蝶が飛んできて。
桜ちゃんの糸を蝶は無効化しているのをみる度、あたしは玲くんを呼びたくなった。
だけど玲くんは来てくれるだろうか。
"約束の地(カナン)"で、櫂より先に呼んで欲しいと玲くんに言われたことを、こんな非常事態なのに思い出した。
だけど今なら…玲くんは助けに来てくれるだろうか。
そして――
飛び込んできたのは櫂で。
煌も来てくれた。
だけど玲くんが居なくて…。
――櫂、玲くんは? 玲くんがいない。
そう櫂に訴えたら、櫂は苦しげな顔をしてあたしを抱き締めた。
このままだと…玲くんが居ないのなら、犠牲者が増え続けてしまう。
櫂も煌も桜ちゃんも由香ちゃんも。
皆が皆、蝶にやられてしまう。
そう思った時、廊下から青い光が蝶の大群を焦がした。
ああ、玲くんだ!!!
玲くんが来てくれた!!!
しかし、玲くんは教室に入ってきてくれなくて。
にっこりほっこり、
――芹霞、大丈夫? もう僕が来たから安心だよ?
その微笑を見せてくれなかった。