シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
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いいよ、別に。
悪いのは叫んだあたしだし、蔑まれようが何されようが。
だけど――
耐えられなかったのは、
あたしじゃなくて、顔も知らない他人に、あの…気味悪い仮面じゃない微笑みを向けていたこと。
そしてあたしは――
やはり、気味悪い微笑みしか向けられなくて。
それが何だか哀しくて。
悔しくて遣り切れなくて。
「……っ!!!」
テラスから走り去った。
あたしは気付かなかったんだ。
何かを言いかけるように、衝動的に席から立ち上がった玲くんの表情も…
「…"王子様"?」
両手一杯にペットボトルを持って、玲くんを食い入るように見つめる…上岐妙がいたことも。
それだけじゃない。
目の前で女生徒が殺されて、そして榊さんまで目を抉られて。
そんな…怖くて怖くて仕方が無い場面に遭遇して震え上がって泣きじゃくったくせに。そして自分から櫂に助けを求めたくせをして。
渋谷の時もそう。
桜華の時もそう。
不可解すぎる凄惨な殺人現場を目撃しているのに、どうして簡単に気持ちを切り換えられて、何事もなかったかのように…その場所の再訪にさえ、抵抗なく淡々としていられるのか…その理由が判っていなかったんだ。
それはあたしだけじゃない。
あたしを含めた"誰もが"危機感が失われているのではないかと、疑問を持つようになるまでにはもう少しの時間が必要だった。
いいよ、別に。
悪いのは叫んだあたしだし、蔑まれようが何されようが。
だけど――
耐えられなかったのは、
あたしじゃなくて、顔も知らない他人に、あの…気味悪い仮面じゃない微笑みを向けていたこと。
そしてあたしは――
やはり、気味悪い微笑みしか向けられなくて。
それが何だか哀しくて。
悔しくて遣り切れなくて。
「……っ!!!」
テラスから走り去った。
あたしは気付かなかったんだ。
何かを言いかけるように、衝動的に席から立ち上がった玲くんの表情も…
「…"王子様"?」
両手一杯にペットボトルを持って、玲くんを食い入るように見つめる…上岐妙がいたことも。
それだけじゃない。
目の前で女生徒が殺されて、そして榊さんまで目を抉られて。
そんな…怖くて怖くて仕方が無い場面に遭遇して震え上がって泣きじゃくったくせに。そして自分から櫂に助けを求めたくせをして。
渋谷の時もそう。
桜華の時もそう。
不可解すぎる凄惨な殺人現場を目撃しているのに、どうして簡単に気持ちを切り換えられて、何事もなかったかのように…その場所の再訪にさえ、抵抗なく淡々としていられるのか…その理由が判っていなかったんだ。
それはあたしだけじゃない。
あたしを含めた"誰もが"危機感が失われているのではないかと、疑問を持つようになるまでにはもう少しの時間が必要だった。