シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
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「で、私に泣きついてどうしたいの、あんた」
目の前であたしの親友、宮原弥生がオレンジジュースを飲みながら、溜息をつく。
携帯で電話したら、やはり桐夏も午前授業だったらしい。
しかも結構前から、毎日のように告知していたらしいけれど、学園祭以降特に…女達から逃げ回って心身ともに疲労困憊しきっていたあたしの耳には届いていなかった。
今日は忙しい連発する弥生にごり押しして、桐夏近くのマックに呼び出し…"男女のことならお任せアレ"と日頃豪語する弥生に相談に乗ってもらおうと思った。
由香ちゃんにとっては玲くんは師匠だから。
第三者たる弥生の判断も聞いてみたかった。
話し終えたあたしに、弥生がしたことは…
「そんなこと玲様本人に聞け」
ぴん。
デコピンされた。
「それすら出来ない状況なの~。玲くんが、あの優しい玲くんが、あたしより櫂にべったりなの。全然あたしの相手してくれないの。寂しくて寂しくて…」
「……。私は昼ドラ的展開よりも、すんなり超HAPPYENDが好きなの。しかも人様のノロケに付き合う程、私は暇じゃない!!!」
「冷たい、弥生ひゃん…。しかも何、ノロケって…。あたしは真面目に…」
「あんたね!! 突然桜華に"交換生"なんて訳わかんないもので、桐夏のプリンス引き連れて、由香りんまでひきつれて!!! 更には玲様と葉山ちゃんと同じ学校に通うなんておいしい状況にいて!!!
1人残された私の気持ち、判る!?」
弥生の手がぶるぶる震えている。
「ごめ…ごめんね、弥生…」
そう、その手を触れようとしたら。
「あんたに行くはずのとばっちり、私…朝から受ける羽目になって!!! 紫堂くんの携帯番号だって如月くんのものだって何1つ知らないのに、何で私があんな肉食獣女なんかと"マブダチ"になって、一緒に紫堂くんの家に遊びに行かないといけないのよ!!? 入ったことなんかないわよ!!! あと5日も!!! ああ、もう嫌!!」
…弥生のお怒りは、"彼女達"の相手をすることについてらしい。