シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
俺の携帯は、芹霞を捕まえられない。
まるで今の俺のように…。
俺だから出たくないのか。
それとも出れない状態なのか。
判断出来る術がない。
芹霞が俺の守護石を身につけていないため、俺は芹霞の気配を感じ取れない。
"約束の地(カナン)"からの帰還後、再び手渡した闇石…血染め石(ブラッディストーン)は、芹霞によって拒まれた。
――また返すことになったら嫌だから。
"永遠"を強くしても、儚いことを芹霞は言う。
俺は。
何処までもどんな時でも、芹霞を離すつもりはないというのに。
――皆からくれたのも、あたし…壊しちゃったし。櫂のだけをもつことは出来ない。
それはまだ、俺は特別ではないと言われているようで。
"約束の地(カナン)"で俺だけの呼びかけに応えた芹霞に、ある種の…自惚れた陶酔感を抱き続けていた俺は、まだ俺が望む程の展開には至っていなかったことを思い知って。
期待しては沈まされて。
それは今に限ったことではないけれど。
悔しさに唇噛み締めながら、その時は引いた。
ああ。
あの時、引かねば…俺は今、芹霞を見つけられたものを。
俺だけが芹霞を見つけられたのに!!
――芹霞ちゃあああん!!