シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 

「玲!!! GPS探索してくれ!!」


振り返って見た玲の顔は蒼白で。

片手に携帯をもって呆然と…いや、焦っているようにも思えた。


「出来ない…」


拒絶にも似た固い声を聞き、憤然とした煌が玲に掴みかかった。


「いい加減にしろよ、玲!!!

お前…何処まで芹霞を避けるんだよ!!?

心配じゃねえのかよ!!?

何考えてるんだよ!!?」


「違う…違うんだ、煌!!! メインコンピュータに…アクセスできない!!! 携帯からのリモートが無効化されているんだ!!!」


「あ!?」


「何で!!? 昨日までは問題なかったじゃないか。第一、移転した師匠のメインコンピュータのダウンとか…何らかの異常が見られた時には、携帯経由でボクの方にも連絡がくるようになってるんだぞ!?」


遠坂が、何の知らせもないらしい…閉じたままの携帯を玲に見せた。


「由香ちゃん、情報処理室行こう」


案内図を頼りに俺達は走った。


場所は談話室から至近距離にあり、ドアを開けると…数人の生徒達が一心不乱にPC操作をしている。


ずらりと…長い机に並べられたPC機器。


遠坂が目を輝かして言うには、PCのどれもが最新CPUで、市販されている中では最高に位置するスペックらしい。


機械に触ると暴発させてしまう煌と、桜は…警護の意味で室外に待機して。


玲は余裕ない態度で椅子に座り、携帯のストラップに飾ってある…芹霞からの贈り物であるティアラ姫の…ティアラを引っこ抜けば、


「おお、師匠…ティアラの下にUSBメモリつけてたんだね…」


遠坂はこのキャラクターが嫌いらしく、顔を歪ませた。

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