シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 

「玲!!!

こうなったのはお前のせいだからな!!!

『"優しさ"と"微笑み"に飢えてるらしいから』


もし変な虫ついたら、許さねえぞ、俺!!!」


涙目だ。


「何だよ、芹霞は年上男が好みなのかよ、そんなの聞いてねえ!!!」


男の好み自体――


そういえば俺は芹霞から聞いたことがない。


ああ、今はそれより。


「連れ戻す」


あらゆる意味で。


それが優先事項。



俺が居るのに。


俺が居るだけじゃ満足できないのか、芹霞。


玲に避けられて寂しいのなら、俺に甘えてくればいいだろう。


そんなに俺は頼りないか?


そんなに俺はガキか?


お前にとって、俺は玲を奪う…"嫉妬"の対象?


お前が向いているのは、俺じゃない男か?


七瀬が煌と手を繋いだ時のお前の顔。

玲だけが"大切な箱"に触れていいと言った時。


俺がどんな想いを堪えていたか、判っているのか?


考えまいとしていた不安が膨らんでいく。


「でも場所が判らないよ…」


遠坂が八の字眉になった。


「もう一度写真見せてみろ」


取り上げた芹霞の写真。


他の男の為に化粧していつも以上に"可愛く"なるなんて、本当に腹立たしいけれど。

可愛くなるのは俺の前だけにしろと叫びたいけれど。


手がかりは。


芹霞が何処にいるかの手がかりは…。
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