シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 

「悪いけれど僕は別行動させてもらうよ」


玲がそう静かに笑う。


何処までも…消え入りそうな儚い笑みで。


「プログラムを何とかしないと「お前も来い」


俺は、強制的に言葉をかぶせる。


「…僕がいなくても…迎えに行けるだろう? 僕はそれよりもやらないといけないことがある。早急に…」


芹霞よりも優先すべきこと。


それが本心だというのなら。


どうしてそんな顔をする?


今にも飛び出して迎えに行きたくて仕方が無いという顔をして。



「俺は芹霞を迎えに行く。

だから、お前も来い、玲」


自分から動くことが出来ない状況だというのなら。


俺の判らない"何か"に縛られているというのなら。



「お前は、俺を守りに来ればいい」



俺がそこからひっぱりあげてやる。



だから――



「嫌とは言わせないぞ?」



そんなに辛そうな顔をするな、玲。


「……っ」


玲は何かを俺に訴えかけて、そして顔をそらした。


そんな時、俺の肩に手がおかれて。


「…お前、最高のお人よし」


煌が、耳元で笑った。


「お前だって、こうしただろ?」


煌は肯定の…屈託の無い笑顔を見せる。


そして、一瞬にしてその顔を険しくさせた。


「どうにかしないとやべえぞ、あいつ。…さっきから顔色は変だし、何だか小刻みに震えている。桜が酷く心配してたし」


「え?」


「我慢のしすぎか? 今日1日でそんなになっちまうくらいの何があったんだ? このままだと身体に負担かかりすぎて、また発作起きちまうぞ?」


一体、どうしたというんだ、玲。


何が起きている――?



< 336 / 1,192 >

この作品をシェア

pagetop