シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「悪いけれど僕は別行動させてもらうよ」
玲がそう静かに笑う。
何処までも…消え入りそうな儚い笑みで。
「プログラムを何とかしないと「お前も来い」
俺は、強制的に言葉をかぶせる。
「…僕がいなくても…迎えに行けるだろう? 僕はそれよりもやらないといけないことがある。早急に…」
芹霞よりも優先すべきこと。
それが本心だというのなら。
どうしてそんな顔をする?
今にも飛び出して迎えに行きたくて仕方が無いという顔をして。
「俺は芹霞を迎えに行く。
だから、お前も来い、玲」
自分から動くことが出来ない状況だというのなら。
俺の判らない"何か"に縛られているというのなら。
「お前は、俺を守りに来ればいい」
俺がそこからひっぱりあげてやる。
だから――
「嫌とは言わせないぞ?」
そんなに辛そうな顔をするな、玲。
「……っ」
玲は何かを俺に訴えかけて、そして顔をそらした。
そんな時、俺の肩に手がおかれて。
「…お前、最高のお人よし」
煌が、耳元で笑った。
「お前だって、こうしただろ?」
煌は肯定の…屈託の無い笑顔を見せる。
そして、一瞬にしてその顔を険しくさせた。
「どうにかしないとやべえぞ、あいつ。…さっきから顔色は変だし、何だか小刻みに震えている。桜が酷く心配してたし」
「え?」
「我慢のしすぎか? 今日1日でそんなになっちまうくらいの何があったんだ? このままだと身体に負担かかりすぎて、また発作起きちまうぞ?」
一体、どうしたというんだ、玲。
何が起きている――?