シンデレラに玻璃の星冠をⅠ

俺も隣にしゃがみ込んで、震える芹霞の手を上から握りしめる。


「よく頑張ったな。もう大丈夫だからな」


そんなことしか言えねえ俺だけど。

笑って勇気づけるしか出来ねえけれど。


だけどそんな俺でも、何かを感じてくれたみたいで…ほっとしたような芹霞の目に更に涙が溢れた。


「な、泣くなってば!!!」


当然ながら慌てる俺に、玲が苦笑して芹霞に微笑んだ。


「1人にしてごめんね、芹霞。これからは僕達がいるからね」


もう誰もが――

判っている。


芹霞を遠ざけることは出来ないと。


元より無理だったんだ。



それは――必然。



「うわああああん!!!」



緊張が解けたのか、芹霞は大泣きで。


櫂が笑いながら、ぽんぽんと芹霞の背中を叩いてあやす。



そして…低い声を放つ。


「…何があった?」


途端――


芹霞の身体が過剰過ぎる程に、びくりと反応した。


「……蝶々が…」


蝶?


「蝶々が飛んで…黄色い奴が…」


黄色い奴?



「ああああああああ!!!」


芹霞は恐怖の声を上げた。
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