シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「だけどセンセ、聖職者がK大生に混ざって何合コン来てるんですか!!?」
「ん~、俺…K大生だし」
「は!?」
「桜華の理事長直々にお願いされたの。時給弾むからって」
桜華の理事長。
――あはははは~。
あの男か!!!
何考えているんだ!!?
「だけど桐夏には秘密ね~。内緒~」
桐夏学園長。
いいのか?
こんな人選、認めていいのか!?
しかもこんなぼさぼ頭で表情も判らない、どう見ても怪しい男を招き入れて大丈夫か!?
「ね、センセ。職員室の前で会った時、ださださ丸い黒縁眼鏡してましたよね」
「だ、ださださって…一応先生の格好しなくちゃと。今日は合コンだからお洒落して、コンタクトなんだ~」
お洒落して、それですか。
服もだぼたぼのしわしわですよ?
「………」
…何も突っ込むまい。
しかし。
土曜日、職員室の去り際…あたしと煌に向けられていたあの視線。
怖いと何故か感じた…あの視線の意味が気になって。
「ああ~、ピントがあってなくてね~、こ~んな感じで目を細めていたからね」
再現してくれているらしいが、そもそも前髪に隠れて目というものがよく見えない。
"ピントがあっていなかったから"
本当にそうだろうか。
疑問が――湧いた。
だけど問い質せぱ、更に深く関わりあう予感がした。
ヤメロ。
どくん。
…関わりあわないほうがいいと、陽斗が嫌に騒ぐ。
「判りました、センセ。あたしは今桜華生なんで、またお会いするのは5日後ですね」
そう、早々に話を切り上げて帰ろうとした時、
「……で……のに」
何か声が聞こえたが、独り言だったらしい。