シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 
「だけどセンセ、聖職者がK大生に混ざって何合コン来てるんですか!!?」


「ん~、俺…K大生だし」


「は!?」


「桜華の理事長直々にお願いされたの。時給弾むからって」


桜華の理事長。


――あはははは~。


あの男か!!!

何考えているんだ!!?


「だけど桐夏には秘密ね~。内緒~」


桐夏学園長。


いいのか?


こんな人選、認めていいのか!?


しかもこんなぼさぼ頭で表情も判らない、どう見ても怪しい男を招き入れて大丈夫か!?


「ね、センセ。職員室の前で会った時、ださださ丸い黒縁眼鏡してましたよね」


「だ、ださださって…一応先生の格好しなくちゃと。今日は合コンだからお洒落して、コンタクトなんだ~」


お洒落して、それですか。


服もだぼたぼのしわしわですよ?


「………」


…何も突っ込むまい。


しかし。


土曜日、職員室の去り際…あたしと煌に向けられていたあの視線。


怖いと何故か感じた…あの視線の意味が気になって。


「ああ~、ピントがあってなくてね~、こ~んな感じで目を細めていたからね」


再現してくれているらしいが、そもそも前髪に隠れて目というものがよく見えない。



"ピントがあっていなかったから"



本当にそうだろうか。


疑問が――湧いた。


だけど問い質せぱ、更に深く関わりあう予感がした。


ヤメロ。


どくん。


…関わりあわないほうがいいと、陽斗が嫌に騒ぐ。



「判りました、センセ。あたしは今桜華生なんで、またお会いするのは5日後ですね」


そう、早々に話を切り上げて帰ろうとした時、


「……で……のに」


何か声が聞こえたが、独り言だったらしい。

< 345 / 1,192 >

この作品をシェア

pagetop