シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「センセ?」
「ねえ、神崎さん。"センセ"やめて。いけないことしてるみたい~」
「じゃあ何て呼べば? というか、名前何でしたっけ」
「黄幡…黄幡計都」
「はい?」
「オウハタケイト」
凄く、嫌な予感がした。
「センセ…?」
「黄幡計都!!!」
「計都サン。妙なことをお聞きしますが、オオハタ姓は…」
「…へえ? 中々勘がいいね。さすが桜華?」
唯一見える口元が、にやりとした笑いを作っている。
「じゃあやっぱり!!! 黄幡一縷の!!?」
「そ。桜華で女生徒殺しまくっている、カリスマ占い師のお兄さん~」
片手をあげて、ひらひらさせた。
お兄さん!!?
意外な処に意外な繋がりがあるものだ。
「だけど血は繋がってないよ、義兄ね~。俺早々に家出てるし、普段からあの家とは交流なかったから、俺を絞っても情報は出てこないからね~」
先に釘を刺されてしまった。
ああ、長い前髪がウザい。
煩さ過ぎて、邪魔。
切ってやりたくて仕方が無い。
「あははは。お化けに食べられないから安心して~?」
「はい?」
「いやいや、こちらの話」
イマイチ、掴めない。
この黄幡計都という男がイチルの義兄。
また玲くんにお土産が出来た。
玲くんとの仲が復活するのも時間の問題だ。
にやにやしながらそう思っていたら、真正面から携帯を手渡された。
「へ?」
ポケットに入れていたはずの、あたしの携帯だ。
「はい、俺の携番入っているから」
「な、何故に? いつの間に?」
「ほらほら、俺センセだから。邪心はないよ~。桜華で困ったら相談してね。義妹のことで、これから凄く迷惑かけそうな気がするし」
含み笑いをされた…気がした。