シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 
『つけられていたんだろう、降車した途端に、待ち兼ねていたように刺客が次々と。

行き着いた木場公園で玲を休ませてたら、更に自警団まで現れ、四面楚歌。

何でも乱れきって喘ぎ続ける玲を両手に抱えて、公園のベンチに座っているのが、如何わしい"不純異性交遊"と見られたらしい。遠坂がいるのにな。野外乱交プレイか? あはははは』


珍しい。


櫂がそんなこと言うなんて。


「何だか楽しそうだね。随分と余裕じゃない、あんた」


『自警団以外は、制裁者(アリス)ではない…ただの人間だ。結構腕が立つ玄人だろうが、かなりの数が向けられていようが、我らが警護団長『漆黒の鬼雷』の相手を務めるには役不足らしい。俺の出る幕など何も1つない』


満足そうな笑い声から、桜が活躍しているのがよく判った。


頑張れよ、桜。


俺の代わりに、櫂達を守ってくれ。


「玲くんの…玲くんの様子はどうなの!!?」


すると櫂の溜息がした直後、


"う、ああああああ!!"


掠れきった玲の絶叫が聞こえてきて。


「玲くん…」


芹霞が一筋、涙を零した。


『寒空の下は玲の身体に悪い。更にこれから冷え込む時間だ。早く暖をとって安静にさせてやりたいが、ここら辺りの場所も絶望的だ。

紫堂の力が及ばない慈悲溢れる"教会"までも無理だった。玲の錯乱と痙攣が酷く、それだけで消極姿勢で迷惑がられる』


「玲を黙らせられねえのかよ!?」


『気絶させても駄目だ。すぐ意識を戻して叫び始める。口に服を詰め込んでも、それが血で染まるまで強く力を込めて噛むから…これ以上の玲の体力を奪うことは出来ない。結界も効いてない』


玲…。


お前、どうしちまったんだよ…?

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