シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
俺は、思わず昔の自分の姿を重ねていた。
帰る場所がなかった俺に、作ってくれたのは緋狭姉。
帰る場所があるっていうのは、何ていいんだろう。
安心出来る場所があるっていうのは、何て素晴らしいことなんだろう。
だったら櫂――
「俺ん家に連れてこい」
「「え?」」
俺の声に、芹霞と櫂の声が重なるように聞こえた。
「あの家も危険が過ぎ去ったとは言えねえかもしれないが、少なくとも俺達が戦えば、その間玲は暖房が効いた部屋でベッドで寝ていられる。紫堂本家よりは安心できる。
何より、お前が一番安心出来る場所だろう?」
――"お客"なんだよ!!!
追い出したのは俺。
あの家に、1人居座っていたかった俺。
櫂は笑って許してくれた。
だけど判っていたんだ。
きっと櫂は、俺の為に――
神崎家から出ようとするって。
俺に櫂の"大事な場所"を託しているんだって。
"俺"だから。
櫂の"大事な場所"に居てもいいというのなら。
それだけ俺を大切に思ってくれていると、自惚れることが許されるのなら。
俺だって同じだよ、櫂。
「あの家はお前の家でもある。
俺達の家だろ?
玲の危機に、住処を提供するのは…当然だろうが」