シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 

かつての俺の言葉と矛盾しているけれど、きっと櫂なら判ってくれるはず。


何が本心か、櫂ならきっと判ってくれる。


桜から急かされたからではなく、これは自発的なものなんだって判ってくれる。


俺達、幼馴染なんだから。


『ありがとうな、煌』


櫂の声と同時に、


「煌!!!」


芹霞が横から俺に抱きついてきて。



「な、ななな!?」



「やっぱり煌だ!!! 


煌、大好き!!!」



突然のことで狼狽した俺は、それでも芹霞を抱き締めて。



"大好き"


それはきっと、俺が心底欲しい言葉の意味じゃねえ。



それは判った。



だけど。



――暫く、口利かないからッッ!!!



何だか初めてこれで……

本当に芹霞と仲直りできたような気がした。



櫂の言葉じゃなく、俺の言葉で。


本当に俺は、櫂を、玲を…皆を大切に思っているんだっていうことが伝わったんだと思う。

< 359 / 1,192 >

この作品をシェア

pagetop