シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 

「うるせえよ。よし、じゃあ俺達が迎えに行くから待ってろ」


『まだ南千住なんだろ? それだったら、俺達は俺達で神崎家に向かった方が遠回りにならなくて住む。神崎家で合流しよう』


「…大丈夫かよ? 少しでも人手欲しいんじゃねえのか?」


『桜がいるから何とかなるだろう。後は玲を如何に黙らせるかとだけれど…これなら完全誘拐犯だ。まあそれは何とかするとして…

――…ん?』


訝ったような声。


そして――

櫂の言葉が途絶え、


『紫堂!!? おい、紫堂!!?』


遠坂の悲鳴が聞こえた。



「おい、櫂どうした!!? 遠坂、遠坂!!?」


『ちょっと待てよ、何で…あ――…』


そして。


『"王子様"……』


そこでぶつりと携帯が切れた。


芹霞が何度電話をかけ直しても、電源が入っていない旨のアナウンスが流れるだけだった。


繋がらねえ!!!


「こ、煌!!! ど、どうしよう、櫂…どうなったの!!?」


「桜に電話かけろ!!!」


芹霞はこくこくと小刻みに頷いて、震える手で桜に電話をかけた。

寒い、と思った。


基本俺は体温は高いから、ぞくぞくとした寒さなど感じたことはねえ。


今、それを感じているというのなら。


間違いなく――


"嫌な予感"だった。

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