シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 
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やはり実物はゲーセンのものとは勝手が違う。


だが。当初ふらふらしていた走りも、時間が経つにつれ…慣れてきたようで。


随分と走行が安定してきたように思う。


慣れれば余裕も出てくるもので。


俺にぎゅっとしがみついてくる芹霞の柔らかさとか、匂いとか、吐息とか。


こんな事態で"女"の部分を感じてしまった俺は、自分自身を宥め落ち着かせるように、吹きたくもない口笛を吹いて、気を紛らわせないといけなくなった。


そんな時だ。


「煌、煌!!! 口笛吹いてる余裕がない!!!

何かやばい、黒い車に追いかけられている!!!」


サイドミラーで確認すれば、本当に…不自然なくらいぴったりと横に張り付こうとしている大きい車があって。


「サツか!!?」


「違う…なんかもっとこう…ひいいい!!? 銃!!?」


真横から――

青い光が一直線に向かってきて。


俺は、蛇行してそれをかわす。



「銃弾じゃねえな、何だ!!? レーザー銃!!?」


「煌!!! 窓からこっち狙っているの…いないの」


「ああ!!?」



「誰も――…

乗っていないの。


運転手から何から!!!」


何だって!!?


俺はかわす為の蛇行に忙しく、ゆっくりと車の中身を確認している暇がなく。


「乗ってないだと!!? じゃなんで車は走り、レーザー銃のような青い光が向けられてるんだ!!?」


おかしいだろうがッッ!!


「どうしてか判らない。だけど確かにそれを持つ人間の姿はないけれど、銃…じゃなく、万年筆のようなものが浮いて…きゃあああ!!!」


芹霞が後ろから俺にしがみついてくる。


「……ちっ!!!」


青い光が、バイクに掠れば…


「!!!?」


まるで硫酸をかけられたかのように、堅固なバイクのボディが青く発光しながら…飴のように溶けていく。


あの光にあたれば、やばいのか。
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