シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 

「芹霞、しっかりつかまっておけよ!!!」


アクセルを緩めてバイクの上体を起こすと同時、体重を左右に移行して前傾姿勢となり、急角度で急速発進した時――


「煌!!! 今度、真上、真上から――」



白い制服。


制裁者(アリス)!!!



「何で同時責めで来るんだよ!!?」



真上から、雨のように銀の光が降り注ぐ。


メスのような刃物。


バイクを小刻みに動かしながら、それをかわしていく。



「ひいいいい!!?」



真横から青い光。


バイクに伝わる衝撃音。


上からと真横からの同時攻撃。



何とかする方法は――。


「芹霞、お前…バイクの上体が起きるように、ハンドルを一定に保ち続けろ」


「はい!!?」


そして俺は、思い切り速度を出して、横の車を振りきるように直進し、


「煌、前!!! バス、バス!!!!」


二段階でバスを駆け上り、その天井で更にバイクの上体を持ち上げ、宙に跳んだ。


即ち、制裁者(アリス)が軽やかに飛び跳ねる空間へ、バイクごと突っ込んだわけだ。



「芹霞、バイクを下に傾けるな、思い切り上に引っ張り上げる感じでいろ!!!」


そして俺は――


身を捩らせて芹霞を無理やり前に引きずり出し、そして立ち上がると…なるべく全体重をかけないようにして、メーターの上を踏み台にして、更に高い宙にへと跳躍した。

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