シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
「え、えええ!!?」
芹霞が声を上げながら、俺を見上げた。
「余所見すんな、バイクを上に!!!」
それを見下ろし怒鳴ると、芹霞は悲鳴のような気合のような不可思議な声を放ちながら、ハンドルを思い切り上に上げ、下降する時間を引き延ばす。
後は、俺が――
顕現した偃月刀。
それをくるくる回しながら、向かわれる刃物を弾き飛ばし、宙返りの要領で制裁者(アリス)の顔面を蹴り飛ばし、更に後方に回って、偃月刀の柄の部分で思い切りたたきつけた。
「ぎゃあああああ!!!」
芹霞の叫び声。
バイクが急降下していて。
俺は制裁者(アリス)を遠くに蹴り飛ばした反動で下降して、
「芹霞、もっと前に移動しろ!!!」
「ええええ!!?」
へっぴり腰の芹霞の後ろから滑り込み、後ろから囲い込むようにしてバイクの上体を起こし、無事に地面に着地させた。
「し、死ぬかと思った…」
呟いた芹霞の髪の毛が、さらりと前方に零れ…白い項(うなじ)が露になった。
どくん。
芹霞が肩で息をする度、さらさらとした髪が逃げるようにして…今まで守っていた、旨そうな首筋を露出させて。
ああ――やべえ。
理性…もっていかれる。
俺は――
芹霞をぎゅっと両手で抱きしめた。