シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
・窮乏 桜Side
桜Side
**************
櫂様の力が及ばない、紫堂の勢力下にある東京。
苦悶に喘ぐ玲様を見ていながら、誰もが人間として持ち合わせているはずの…慈悲の手を差し伸べない。
特に病院施設。
紫堂系列でも、そうでなくても、大手総合病院も、個人病院も。
明らかに"救急対象"の玲様を見て、"人手が足りない"という理由で、困惑な表情を浮かべてはっきりと拒絶した。
櫂様が直接話しても、院長ですら…まるで事前に判っていたかのように、面会しようとしない。
不在という名前の、居留守に違いなく。
強硬に乗り込もうとすれば、警察に通報され…そんなものを相手する時間が惜しくて、逃げるようにそこから出ては、次の候補病院を探した。電話した。
しかし――
結果はどれも同じ。
何の為の病院だ、何の為の紫堂だ。
玲様がこんな状態なのに!!!
ここまで薄情な街だったのか、東京は。
ただ――
「ボクが1人先に言うと、師匠を助けようと皆協力姿勢見せるけれど…続けて紫堂や葉山の顔を見れば、"逃げる"よね」
遠坂由香の言う通り、私達は…取り分け櫂様に対して戒厳令でも出されているのか、確かに櫂様を見てからの反応がかなり悪い。
「病院だけじゃないけれど、必ず紫堂の顔みたら、何かこそこそ手元の"紙"を見て、態度変える人多いよね」
確かに――そうだった。
「指名手配書でも出回っているのか?
紫堂の…俺への挑発か?」
櫂様に――
刃向かおうとする不届き者がいるのか。
確かに此処の処、外部で紫堂潰しの動きが見られると…櫂様と玲様は懸念されていたけれど。
昨日までは普通だった。
それなのに今日になったら。
紫堂の次期当主を…『気高き獅子』を窮地に陥れるなど。
何よりその威光を畏怖していた者達を、全て抑えつけ拒絶させられるだけの力の持ち主がいるなど!!!
――ありえない。
だけど。
現実としてありえている。
何ということ!!!
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櫂様の力が及ばない、紫堂の勢力下にある東京。
苦悶に喘ぐ玲様を見ていながら、誰もが人間として持ち合わせているはずの…慈悲の手を差し伸べない。
特に病院施設。
紫堂系列でも、そうでなくても、大手総合病院も、個人病院も。
明らかに"救急対象"の玲様を見て、"人手が足りない"という理由で、困惑な表情を浮かべてはっきりと拒絶した。
櫂様が直接話しても、院長ですら…まるで事前に判っていたかのように、面会しようとしない。
不在という名前の、居留守に違いなく。
強硬に乗り込もうとすれば、警察に通報され…そんなものを相手する時間が惜しくて、逃げるようにそこから出ては、次の候補病院を探した。電話した。
しかし――
結果はどれも同じ。
何の為の病院だ、何の為の紫堂だ。
玲様がこんな状態なのに!!!
ここまで薄情な街だったのか、東京は。
ただ――
「ボクが1人先に言うと、師匠を助けようと皆協力姿勢見せるけれど…続けて紫堂や葉山の顔を見れば、"逃げる"よね」
遠坂由香の言う通り、私達は…取り分け櫂様に対して戒厳令でも出されているのか、確かに櫂様を見てからの反応がかなり悪い。
「病院だけじゃないけれど、必ず紫堂の顔みたら、何かこそこそ手元の"紙"を見て、態度変える人多いよね」
確かに――そうだった。
「指名手配書でも出回っているのか?
紫堂の…俺への挑発か?」
櫂様に――
刃向かおうとする不届き者がいるのか。
確かに此処の処、外部で紫堂潰しの動きが見られると…櫂様と玲様は懸念されていたけれど。
昨日までは普通だった。
それなのに今日になったら。
紫堂の次期当主を…『気高き獅子』を窮地に陥れるなど。
何よりその威光を畏怖していた者達を、全て抑えつけ拒絶させられるだけの力の持ち主がいるなど!!!
――ありえない。
だけど。
現実としてありえている。
何ということ!!!