シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
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木場公園――。
東京都江東区にある都立公園で、色取り取りの草花が生い茂る、都会のオアシスと呼ばれている。
閑寂な…都民の憩いの場で、私は刺客と乱闘している。
舞い散る花々。
切り倒される草木。
寒さ故に…公園に人がいないことだけが幸いした。
これで公園に警察やら何やら駆け付けてきたら、この公園でさえもすぐ退散しないといけない。
ベンチでは、櫂様が玲様を抱き、遠坂由香が…噴水で濡らしたハンカチで玲様の身体を拭いている。
ゆっくりできる空間がこの冬空の下。
本当に我慢ならぬ事態だけれど、1秒でも長く…玲様を休ませる為には、私1人で刺客を相手すればいい。
それしか出来ない自分が嫌だけれど。
月島も豊洲も、木場も…。
全ての施設は、私達を受入れてはくれなかった。
弱者を慈悲心で救済するはずの宗教施設…基督教の教会でさえ、刺客を連れての尋常ならざる空気と、玲様の悲痛な叫びにより、
――信者が動揺しますから、然るべき場所でまず手当を…。
自らが囲い込む信者の為に、救いを求める哀れな子羊を見放した。
――信者になられますか?
私達は、冷たい眼差しを向けて立ち去った。
「そういえば。豊洲って…黄幡会の本部があるんだね」
遠坂由香の声。
所々に貼られていた"黄幡会"のポスター。
"願い求めよ、さすれば我…汝にそれを授けん"
キャッチコピーらしい。
そのポスターを目にした遠坂由香が、疲れ切った顔で言った。