シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
 

暗くなり始めた公園は、玲様の掠れきった声がよく響き、それをBGMに私は闘っていて。


自警団まで現われ、それを私は排除して。


そこに鳴り響く櫂様の携帯電話。


翳りきった端正の顔が、僅かに弛む。


芹霞さんからだ。


焦げ蜜柑は、芹霞さんに会えたんだ。


少し…いや、かなり。力が出た。


絶望的な状況の中で、芹霞さんが帰ってきてくれれば、それだけで光明が見えた気になる。


玲様に声をかけてくれるだけで、玲様は頑張れる気がする。


例え玲様が芹霞さんを弾いていても、それが本心ではないと誰もが判っているから。


芹霞さんなら、きっと玲様の力となってくれるだろう。


玲様だけではない、櫂様にも、


――私にも。



そんなことを思っていたから、櫂様の背後に忍び寄る影に私は気付かなかったのだ。


数だけで攻める刺客など、私の相手にもならないはずだったのに、私が…櫂様を守れないなど。


そしてお強い櫂様が、瞬時に倒れてしまうなど…。


「紫堂、おい!!?」


甲高い遠坂由香の声で振り向けば。


櫂様の背後にいたのは、


「!!?」


制裁者(アリス)の服を着た…

制裁者(アリス)ならざるもの。


銀色の髪。

銀色の瞳。


――ぎゃはははは。


まるで。


陽斗と正反対色の…"陰"の美貌。


違う、そんなことよりも!!!


ああ…あの、

酷薄めいた氷のような顔は!!!


あの威圧感は…!!!


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