シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
私の太股に突き刺さった――
――…双匕首。
そう自然と警戒できる、視界の範囲よりももっと下の位置から。
滑り込むようにして上向きに…深々と突き刺さった暗殺武器。
そこにいたのは…
――BR002。
煌をそう呼んだ、小さい制裁者(アリス)。
芹霞さんの家で会ったあの少年。
ぐりぐりと、刃物を回転されて肉を抉られ、私は身を捻って少年の手から身体を離し…突き刺さった武器を引き抜いた。
迸(ほとばし)る鮮血。
くらり、ときたのは…出血のせいだけじゃない。
「何か…塗っていたのか!!!」
ぼやける視界。
ぶれる視界。
「大丈夫だよ、死にはしないから。
大人しくして貰うだけ」
無邪気な笑い声を弾くように――
私の携帯が鳴っている。
「王子様…」
玲様を、愛おしそうにそう呼ぶ声がする。
ああ、櫂様。
櫂様はどうなってる?
遠坂由香は?