シンデレラに玻璃の星冠をⅠ
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煌は煌で不安があったんだと思う。
理屈より本能で生きている男だから、あたし以上の"何か"を直感的に感じていたはずで。
あたしの手を片手で握り締めながら、かなりの速度でバイクを飛ばした。
不思議とあれ以来の敵の来襲はない。
更には。
改造バイク、ノーヘル×2、片手運転。
何処をどう考えても捕まる要素しかないのに、奇跡的に警察にも見つからなかった。
それだけ煌の運転は神がかり的に素晴らしかったのだろうか。
それとも煌の髪色が黒くて目立たなかったからだろうか。
しかし、いつ何処でバイク運転経験を積んでいたのだろう?
免許を取ったという事実さえ、あたしは過去知らなくて。
バイクの話題すら、今まであたし達の間に上ったことはないはずなのに。
機械に触れば爆発させる煌が、バイクを爆発させないのも不思議だ。
一体、煌の爆発の基準は何なんだろう。
現実逃避をするように、煌に関する不可思議な事象をあれやこれや考えていたら、あっという間に公園に着いたんだ。
公園に入ると、あたし達は櫂たちの名前を呼んで探し回る。
だけど――
居ない。
居ない。
何処にも居ない!!!
「煌、居ないよ…ねえ、何処にも櫂達が居ない!!!」
涙声を発したあたしの背後では、煌がしゃがみ込んで何かを弄っていて。
「煌?」
「此処に居たんだ。ついさっきまで。この血痕…まだ新しい」
そう、目を細めて言った。