シンデレラに玻璃の星冠をⅠ


ぞくりとした。



血痕は…誰のものだろうか。



敵?


それとも…



櫂?

玲くん?

桜ちゃん?

由香ちゃん?



――芹霞ちゃあああん!!!



寒い。


凄く身体が寒い。



――芹霞ちゃあああん!!!


今まで。


あたしが櫂を見失ったことがないから。


必ず、無事な姿で巡り会えたから。


必ず、無事なままであたしが見つけたから。



もしも――

この血痕が櫂のものであったら…。



あたし…。



「……大丈夫だ。櫂はそんなヤワじゃねえ。俺達が信じなくてどうする」



煌の胸に掻き抱かれた。



「無事だ。絶対…」



励ますように言う煌の声が、少し震えていることに気づいた。


あたしは静かに深呼吸をして、自然に零れた不安の涙を手で拭う。



「うん、そうだね。櫂は大丈夫。櫂だけじゃない、皆も大丈夫」



そう、信じなきゃ駄目だ。




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